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ラマダンカリーム ラマダン中はこんなあいさつをムスリムの間ではします。
ラマダンとは年に1度、1か月間の断食月の事です。断食といってもずっとするわけではありません。
夜明けから日没までの時間だけ飲食を控えます。始まりは新月を目視で確認して、終わりも新月を目視で確認して終わりになります。この間は神聖な月とされていて貧しい人のために寄付をしたり、悪口を言ったり争いごとをひかえたりします。

基本的にイスラム教は無理なことをしない(させない)ので、病気だったり授乳中だったりするひとは断食できない分を寄付などで埋め合わせをしたり、できるようになってからやってない日数を後からするということも可能です。
食べられる時間になるとみんなで一緒に楽しくご飯を食べるのでラマダンを楽しみにしてる人も多いと聞きます。お祭りですよね。

なんでこんなことをするのか?という理由は神様にしかわからないことではあるのですが、一体感だったり、食べられない人の気持ちを知るだったりといったことを聞くこともあります。世界中のムスリムが一斉に同じことをしてると思うとすごいなと思います。たしかに連帯感あるのかも。

さて、私は結婚した時に改宗したのでラマダン歴15年ほどなのですが、日本でいきなりの断食は本音を言うと、とても辛い1か月でした。私は断食なんてやったこともなかったし、夫もムスリムになりたての人がイスラム教国でない国でラマダンを過ごすということがどういうことなのかわかっていなかったのでしょう。どんなにつらいのか理解できなかったのかもしれません。(しかもその時は夫は仕事をしていなくて朝遅くまで寝て過ごせた)

私の職場は病棟で、室内温度が高い新生児がいる病棟。ただでさえ喉が渇く環境でした。もちろん夜勤も週2くらいであったし。食べられる時間に食べておかなくっちゃと夜明け前に起きて断食に入る前に食べてまた寝てました。そしたら朝が超つらい。這うようにして起きて仕事に行っていました。その横ですやすや眠る夫を見てボロボロ泣いた日もありました。職場では食べられない私に気を使ってもらうのが申し訳ないので休憩を早々と切り上げたり。断食していると、ボーっとして考えが鈍ります。頭痛がしたり極度の眠気もきます。でもしばらくするとまた元気になります。ちょっと昼寝をすると体は楽になります。からだがエネルギーの調整をしているようです。ちょっと横に…というわけにはいかないし、ボーっとしているからと言って投薬量を間違ったりしたら大変なことになるので非常に緊張しました。

食べられる時間になって夫が用意したイフタールを食べた後は、無性にイライラして感情のコントロールがつかなくなり暴れまわったり。軽いうつ状態でした。夫はモスクにいってイフタールを仲間と楽しみ、私は家でひとりぼっちで食べることも。初年の断食が何年も回復できないトラウマになってしまいました。

 断食をしていると普段は気づかないことにたくさん気づきます。まず最初に気付いたのが、どれだけ普段食事に関することに時間を費やしているか。買い物、用意、食べる、片付けの一連の作業が昼間にはなくなります。それだけで結構時間に余裕ができるんですよね。(子供ができてしまうとそうでもなくなりましたが)それから、食べたものが体調の良しあしにものすごく影響しているということ。私がイフタールを食べた後に発狂するのは血糖値の急上昇が原因でした。低GIのものを主にしてからは穏やかに過ごせるようになりました。それから食べ過ぎたときやジャンクなものを食べたときは翌日の断食はつらい。お酒を飲まないと体がすっきりする。水分が少ないと便秘になる、血流が悪くなって肩こりが悪化するなどなど。水を飲むバージョンの断食をこの前3日間やってみましたが、楽々できました。頭が痛くなるのは脱水だったんだとわかりました。食べてないんだから低血糖じゃない?と思ってこっそり病院ではかってみましたが正常値でした(笑)人によって耐性が異なるので低血糖になる人もいるかもしれません。自分の体の状態に敏感になるのでこれは良かったと思う点です。体重はあんまり減りません。かえって増えることも。食べ過ぎない、夜中は食べないようにしてからは減るようになりました。食べられる時間をどう過ごすかが、ラマダンを快適に過ごせるかのカギになるようです。空腹よりも満腹でいることの方が体はきついです。
 食べられない人の気持ちを理解するというのは私は疑問です。だって時間がくれば私たちはおなか一杯になるまで食べられるからです。

 ラマダンがくると必ず初年の事を思い出します。5年くらい前まではラマダン時期になるとうつっぽくなることもありました。でもだんだんと快適に過ごす知恵がついてきて落ち着いて迎えることができるようになりました。今年モロッコに行ったときに1日だけラマダンを現地で経験することができました。そこで初めて、みんながラマダンを楽しみにする理由がわかった気がします。だからこうやって振り返りの文章をブログに書こうかという気もちになれたのかもしれません。帰りの航空券が突然キャンセルされていて帰れなくなってしまったというハプニングがありましたが、そのおかげでモロッコでのラマダンを経験できました。これも神様の図らいなのかもしれませんね。初めてなのに100%を期待した旦那をそろそろ許してやってくれよということなのかもしれません。

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